機械類の安全性を定める規格がありますが、メーカーおよび設計者もユーザーも知らないというのが実情かと思います。
最後は人なのですが、安全な設計として役に立つものを利用することは大切ですし、ユーザーも自分の命や健康を守るために知っておくべきことと思いますので、自分が復習するためも含め、ご紹介してみます。
機械類の安全性を定める規格
安全規格(JIS,ISO,IECなど)は、数百を超える膨大な数があります。
それら全部を頭に入っている人はいないと思います。
都度調べると思いますが、纏まっているものが、なかなか見つからない^^;
あるのかも・・・
ということで、業務で必要だったので調べてみました。
折角調べたので、内容を記録しておきたいと思います。
参考としてご利用ください^^
3つのタイプの安全規格
これらの安全規格は、各規格の適用対象別に次の3つのタイプに整理されています。
それは、JIS Z8051-ISO/IECガイド51(安全側面-規格への導入指針)で定められています。
- タイプA:基本安全規格(全ての安全規格に共通する概念や基本原則)
- タイプB:グループ安全規格(広範囲の機械に共通して適用できる保護方策)
- タイプC:製品安全規格(個別機械,特定のグループに適用できる保護方策)

前述したように、安全規格は、膨大な数があるため、階層化されています。
そして、安全規格間の整合性を維持するために、他の規格によって既に定められている事項は、その規格を引用することが定められています。
例えば、IECの規格が定めたリスク低減に役に立つテクニックが既にある場合、JISの規格では、改めて重複して規格の中に書くのではなく、IECの規格を引用するというものです。
でも、利用する側からすると、この辺りを一つにまとめてほしいところです^^;
規格同士が関連し合う体系が構築されているのは、非常に良いことですが・・・
残念なことに、体系化された規格は、ある機械に関する1つの規格で
全ての要求事項を読み取ることができないんですよね。
そのため、
結局は多くの規格を逐次参照しなければならない。
効率よくまとまった安全設計規格
でも、仕方がないようです。
一見使いにくく非効率的に思えますが、安全性を確保するための設計手順や多数の保護方策のほとんどが、いろんな分野の機械にそのまま利用できるので、どうしても引用という体系とするのが一元管理するができ、混乱を招かないので無難ですね。
例えば、インターロックの要求が機械ごとの規格で異なっていてはその数だけ要求事項が存在することとなり、同じインターロックにもかかわらずあるものは細微にわたり詳細に、またあるものは抽象的な要求事項のみになり、そしてその数は膨大な量になる。
混乱を招きます^^;
そしてまた、特定機械の規格(タイプC)に全ての要求事項を含めると、100ページを超える重厚な規格となってしまう。
反って面倒ですね^^;
現在のような規格体系が構築されていることにより、一つの規格の分量は、十数ページ程度の必要最小限に抑えることができています。
さらにテクニック別の要求事項がタイプA/B規格として単独の規格として作られているので、改正等の更新管理がし易くなっています。
類似する要求事項の重複を避けることで、微妙に異なる要求の乱立の防止に役立つ等、多くの点でメリットがあるということです。
このような関係は、ISO/IECに整合化したJISだけではありません。
ISO/IECには存在しない日本オリジナルのタイプC規格として開発された“食品機械JIS”や“木工機械JIS”等もこの体系に含まれるように作られているようです。
日本オリジナルのタイプC規格はまだ少数ですが、いずれも規格本文中に多くのタイプA/B規格を引用しています。
そのために、タイプC規格だけを見ただけでは、規格が意図する要求や、
実施すべき手段の詳細は理解できません。
つまり、設計者が個別機械の規格を正しく参照するには、タイプA/B規格の理解が不可欠となります。
世の中の実態は?
また、機械の包括的な安全基準に関する指針というものがありますが、努力義務の範疇なので、しっかりと対応しているメーカーはほとんどいませんね。
そして、残念なことに元請けとなるエンジニアリング会社も理解していないことが多いです。
担当者の問題なのかもしれませんが、会社としてユーザー側は見るので・・・
またユーザーも残留リスク等の情報を要求する努力義務がありますからね。
それらを理解して、設計時におけるリスク低減を図る必要があると思います。・
なので、次回にでも、あらゆる機械類に対して適用できる
基本概念と設計原則および一般的側面の規格をまとめてみるのも良いかな?
詳細は普通にネットにありますので、ポイントを示す形になると思います。
まぁ、気が向けばですが(笑)
まとめ
機械類の安全性を定める設計規格がありますが、知らない人が多いというのが実情かと思います。
安全な設計として役に立つものを利用することは有効です。
ユーザーも自分の命や健康を守るために知り、設計段階で機械の使い方の要求をするなど積極的に入り込むと良いです。